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精神障害者、発達障害のための障害年金の申請方法や年金額などをまとめてみた

こんにちは、たいよう てらです。今回は障害年金についてお話をしてみようと思います。

障害年金をはじめて聞く方も多いのではないでしょうか。障害年金は、65歳で貰える老齢年金とは違い、障害が固定(継続)している方が受給できる年金制度のことです。年金なので、ちゃんと2ヶ月に1度、指定された口座にお金が振り込まれます。

お金は生活の基盤を整えるとても大事なもの。経済面の問題で、メンタルの調子を崩される方が大変多い中、このようなお金の面を支えてくれるこの制度は必要としている方も大変多いです。

少し前より、精神障害者だけではなく、発達障害と診断を受けた人も障害年金の申請ができるようになりました。

とても良い制度なんですが、実は仕組みがややこしく、申請もすごく大変です。基本を抑えておけば、最後まで進めていけると思いますので、早速その内容をじっくりと見ていきましょう。

障害年金の対象者

最初にこれを説明しておかないといけませんね。障害年金は、精神科に通っている人全員が対象、というわけではありません。

症状が固定(継続)している

ひとりで食事の用意ができて、仕事ができて、家事もちゃんとできて、プライベートも充実している、自立された方は障害年金を受けることが難しいです。

やはりある程度症状が固定(継続)しており、日常生活を送ることが困難な方や、安定した収入を得るのが難しい方が障害年金の対象となります。

それを判断するのは主治医ですので、障害年金を申請したいと主治医に相談することから始めましょう。もし主治医に相談する時間がなかなか取れない場合は、その病院に勤めている精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)に相談してみましょう。

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毎月の年金の支払い状況

次に支払いがどれだけなされているかによります。満額ではありませんが、ちゃんと規定があります。

  1. 初診日の属する月の前々月迄の年金加入期間において、年金保険料の納付月数と免除月数の合算月数が3分の2以上あること(原則)
  2. 初診日の属する月の前々月迄の過去1年間に年金保険料滞納月が無いこと(特例)

上記が条件です。つまり、未納が多い人は申請自体ができません。『免除』の期間は、納付済として扱われますので安心してくださいね。自分がどれだけ年金を収めているかは、最寄りの年金事務所で聞いてみましょう。

初診から1年6ヶ月が経過

障害年金は、症状が固定(継続)している場合に申請ができるので、病院にかかってすぐには申請ができません。一番最初にかかった医療機関より1年6ヶ月経過していればOKです。

この最初にかかった初診の病院というのは、例えば『うつ病』の方が最初にかかった病院が精神科であればそこから計算、もし最初に相談したのが内科に相談していれば、その内科から計算します。

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障害年金の相談先

もし条件に当てはまるようであれば、申請に進むことができます。それではその相談先を説明しますね。

初診でかかった病院から1年6ヶ月…という説明を上述しましたね。その初診日に何の年金に加入していたかで相談先が変わります

加入していた年金が国民(基礎)年金(主婦、学生、扶養に入っていた)だった場合の相談先は、お住まいの市区役所の国民年金課です。

そして厚生年金(会社員)だった場合は、最寄りの年金事務所になります。

発達障害の場合

発達障害の場合、後から発症する後天性ではなく、生まれつきの先天性とされています。

知的障害の方も同じように先天性なので、初診日というのはなく、全員国民(基礎)年金となるのですが、発達障害の場合は、初診日に厚生年金に加入していれば、厚生年金で申請することができます。厚生年金であれば、年金事務所へ行きましょう。

20歳前に初診日がある

もし初診日が20歳より前にあった場合。20歳前というのは、年金制度に加入していない時期になりますので、基本的に全員国民(基礎)年金となります。お住まいの市区役所の国民年金課へ相談に行きましょう。

障害基礎年金

市区役所で申請した場合は、障害基礎年金になります。障害基礎年金は、等級が1級2級の2つあり、そのうちのどっちかに該当する程度の症状がある場合に、申請が可能です。

年金額は固定で、その金額が2ヶ月に1度、偶数月に支給されます。ちなみに年金額はこちら。

1級:974,125円(年額)

2級:779,300円(年額)

更に18歳未満のお子様、20歳未満の障害をお持ちのお子様がいる場合、子の加算がつきます。配偶者の加算はありません。

1人目と2人目:ひとりにつき224,300円(年額)

3人目以降:ひとりにつき74,800円(年額)

障害厚生年金

年金事務所で申請すると、障害厚生年金になります。等級は1級~3級まであります。2級以下の軽い症状でも受給資格があることが特徴です。

年金額は、障害基礎年金に、厚生年金分が上乗せされるイメージなので、貰える金額が多いです。

これは固定ではなく、働いていたときの給与で変わってきますので個人で貰える金額は変わってきます。こちらのサイトが、とても分かりやすい計算式を載せてくれているので参考にしてみてください。支給される月は基礎年金と同じで、2ヶ月に1度、偶数月に支給されます。

障害年金の年金額(かなみ社会保険労務士事務所)

そして厚生年金の場合、配偶者の加算があり、年額223,400円貰うことが出来ます。

請求方法には種類がある

障害年金には、いくつかの請求方法があります。まず初診日から数えて1年6ヶ月目、この日のことを『障害認定日』といいます。

障害認定日請求

初診日より1年6ヶ月経った時期を状態を診断書に反映させる、障害認定日請求。障害年金の中でも一般的な請求方法です。障害年金という制度を知らなくて、何年か経った後に障害年金の申請を行う場合も、障害認定日請求で請求します。

また障害認定日請求は、遡及請求といって、5年前まで遡り、過去5年分の年金をまとめて貰うことが可能です。つまりこの先貰い続ける年金 + 過去5年分遡った金額が貰えますので、うまくいけば結構な金額を貰うことができます。

障害認定日のある月から受給権が発生し、その翌月分から計算して支給されます。

事後重症請求

障害認定日請求ができなかった方などが請求できる、事後重症請求。

・障害認定日当時の障害状態が障害等級に該当していなかったが、その後同じ病気が悪化した方

・障害認定日請求は不支給とされたが、その後同じ病気で症状が悪化した方

・障害認定日請求をしようとしたが既にカルテが廃棄され、当時の診断書は書けないと医師に言われた方(病院の廃業も)

・障害認定日当時は医者にかかっていなかった方

引用:障害年金119 公式サイト

基本的には障害認定日請求ですが、中には上記の理由で該当しなかった方ができる請求方法です。65歳の誕生日の前々日までに障害等級に該当していれば、いつでも請求はできます。

請求した月に受給権が発生し、その翌月から年金が支給されるようになります。

はじめて2級請求

精神の申請では個人的にあまり見かけませんが、一応説明しておきますね。

これは、例えばA疾患で治療を継続しているけど、障害認定日の状態は軽く申請には至らなかった人が、B疾患を発症し、A疾患と合わせると、2級以上の障害に該当する場合に申請できる請求方法です。

これは65歳以上であっても申請は可能です。

20歳前障害による請求

これは、上述した20歳前に初診がある場合や、先天性の知的障害などの方が該当する請求方法です。

養護学校に行っている知的障害の子は、20歳になるのを待ってから精神科に行き、申請をする場合が多いです。また後から知的障害だということが分かった場合も、先天性のためこちらの請求方法に該当します。

また、うつ病などの方でも20歳より前に初診日がある場合は、20歳より後はずっと厚生年金に加入していたとしても、こちらの請求方法となります。

20歳前傷病による所得制限

もうひとつ、20歳前請求についての大事なお話をしておきます。

実は障害年金は、お仕事で貰える給料と、障害年金をなんの制限もなく同時に受け取ることができます。例えば給料で20万円、障害年金で10万円出た場合、全額ちゃんと手元に貰うことができます。ありがたいお話ですよね。

ですがそれが、20歳前に初診があり、20歳前請求で請求した場合、仕事で稼いだ給料の方に所得制限がかかってきます。そして、本人の前年所得が制限額を超えてしまった場合、その年の8月から1年間、障害年金支給額の全額または半額の受取りが停止されます。

その制限額というのが下記の金額です。参考にしてみてくださいね。

  1. 360万4000円を超えて462万1000円以下:子の加算を除いた2分の1が支給停止
  2. 462万1000円超:全額が支給停止

請求に必要な書類

めちゃくちゃ多いです(笑)心構えもあるかと思いますので、ひと通り書き出しますね。まずは窓口で貰う書類一式です。

  • 年金請求書
  • 診断書の原本:主治医に作成してもらいます。遡及請求の場合は2枚必要。
  • 受診状況等証明書:初診の病院に作成してもらいます。同じ病院に今もかかっているのであれば必要ありません。
  • 受診状況等証明書が添付できない申立書:初診の病院でカルテが残っていない、閉院しているなどの理由で作成できなかった場合に必要となる書類。
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 障害給付 請求事由確認書
  • 額改定請求書
  • 年金請求遅延に関する申立書:遡及請求をする場合に必要
  • アンケート:内臓の病気の場合に提出するもの
  • 障害年金の子の加算請求に係る申出書:子の加算の請求時で必要
  • 子の診断書:子の加算の請求時に必要

これらすべてが必要になる方はあまりいらっしゃらないかもしれません。その中で皆さんが声を揃えて『大変』と言われるのが、『病歴・就労状況等申立書』です。これは、A3サイズ両面の用紙に、自分のこれまでの病歴や就労状況、日常生活の様子をびっしり書いていくものになります。

皆さん頭を抱えて添削を希望されて来られる方が多いです。もし通院先の病院に精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)がいれば、書いたものを見てもらうといいと思います。もしそういった方がいない場合は、私が書き方をまとめたものがあるので、それを参考にしてみてください。

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続きまして、窓口以外で取得するものです。

  • 戸籍謄本
  • 戸籍附票
  • 住民票
  • 所得証明又は非課税証明書又は源泉徴収票
  • 在学証明書または学生証の写し
  • 生計同一関係に関する申立書と加算対象者の住民票
  • レントゲンフィルム
  • 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の写し
  • 労災の給付の写し
  • 第三者行為障害を証明する資料の写し

こちらも、全部は必要ありません。ただひとつ説明しておいた方がいいことといえば、精神障害者保健福祉手帳。この手帳を持っている場合は、等級に注意してください。もし手帳の等級が2級であれば、障害年金も2級になる可能性が非常に高いです。3級であれば3級といったように、等級がスライドします。

これがもし、手帳が2級であれば障害基礎年金、障害厚生年金どちらにも2級があるので問題ないのですが、手帳が3級で、障害基礎年金の申請をされる予定の方。障害基礎年金には3級という等級が存在しません。そのため申請しても、申請が通る可能性が難しくなってくるかもしれません。

『じゃあその場合は申請できないの?』と思われるかもしれませんが、その前に主治医に相談してみましょう。もし先生がGOサインを出してくれるのであれば、精神障害者保健福祉手帳の等級変更を先に行ってください。もちろん2級相当の症状がないと難しいと思いますが、相談できるのであれば絶対聞いてみた方がいいです。これによりせっかくのチャンスを掴めなくなるのはもったいないですからね。

それで無事に手帳の等級が2級になってから申請すると、受給の可能性はぐんとアップすると思います。

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そして最後に、申請時に必要なものです。

  • 印鑑
  • 年金手帳又は年金証書
  • 預金通帳

とてもたくさんありましたね。その中で重要な種類もいくつかありますので、体調をみながら揃えていくといいですね。

申請してから決定通知が来るまで

約3ヶ月~6ヶ月かかります。中には1年かけてやっと通知が来たという方も。判断が難しい病名などは多少時間がかかってしまうようですが、個人の状態などにもよりますので、一概には言えません。

これだけ待っても、残念な通知が来たという人ももちろんいます。こればっかりは、結果が来ないと分からないというもどかしさがありますね。

ちなみにめでたく受給資格を得た方は、その時に年金証書が送られてきます。この年金証書は捨てずに大事に取っておいてください。というのも、この年金証書で、精神障害者保健福祉手帳の更新ができちゃいます

手帳の更新は2年に1度ですが、その時に本来必要な主治医の診断書の代わりに、年金証書を持って窓口で更新手続きをすれば、ちゃんと更新が出来るんですね。通常かかってくる診断書料金もかかりませんので、ぜひ活用してみてください。

更新は3~5年に1度

その後は、3~5年ごとに更新をしていきます。これは人によって違いますが、精神で申請をしただいたいの方は3年が多いです。

この更新に必要な診断書は、更新の1ヶ月前に自宅に郵送されてきますので、主治医に作成してもらいましょう。

障害年金の更新は、年金証書ではできませんので注意が必要です。

会社にバレる?

これを心配される方は多いのではないでしょうか。障害や通院をオープンで働いている人は別として、病気を隠してクローズで働いている方は特にそうだと思います。

これは基本的に会社にばれることはありません。確定申告のときにも、特に会社に対して報告義務はありません。ただ、同一の病名で傷病手当金を受けている人は、障害年金受給の有無を書く欄があって、そこに記載しなければいけないので、結果ばれてしまいます。

私の個人的な考えをお話しさせて頂くと、バレるんじゃないかとビクビクしているよりも、話せる上司1人だけでもいいので、伝えておくことは決して悪い事ではないと思います。『障害年金を受けているから首だ』という会社はそれこそ問題がありますし、あなたのためにある当然の権利なので、何も恥ずかしいことはありません。それであなたの生活の基盤が整っているのは間違いないことですし、支えられていることだってあるはず。

年金を受けながら、こうやって周りと同じように働いているんだ、社会に貢献しているんだってもっと胸を張っていけるといいですね。

受給中の保険料の支払いについて

障害年金の1~2級に該当した場合、国民年金は法的免除になります。払わなくても大丈夫ということですね。一方厚生年金の場合、会社の給料から天引きされます。そのため、会社にバレることがないんですね。

なので、例えば老後の年金の受給例として、障害基礎年金+老齢厚生年金という受給方法も可能になってきます。今後の年金については、65歳になったときに年金事務所もしくは国民年金課で相談してみるといいですよ。

ですが障害厚生年金3級に該当し、一度も2級以上にならなかった場合は法定免除の対象にはなりません。もし3級の方で、国民年金の保険料の支払いが難しい場合は、免除申請をする必要があります。

まとめ

障害年金は大変難しく、時間のかかる申請です。もし家族や福祉の支援者で手伝ってくれそうな人がいれば、手伝ってもらいながら申請を進めても良いと思います。

体調が悪くなって、申請が出来なかったという人も珍しくありませんので、そこは自分の体調と相談しながら無理のない範囲でやっていきましょうね。応援しています。

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