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精神科に通いながら復職を目指す方に向けた心構えと復職支援(リワーク)について

皆さんの中でもこころの不調で長期的に仕事を休まなければいけなくなった方はどれだけいらっしゃるのでしょうか。

この社会において、こころの調子を崩し休職に至る方がとても増えてきています。

社内環境や多忙な業務量、コミュニケーションにおいて上手くいかず、具合が悪くなり精神科を受診。そして休職を勧められ、1ヶ月から数ヶ月、長い方では数年の休職を強いられる方も珍しくはありません。

今回はそのような精神的な具合の悪さが原因で、休職に至った方に向けた復職を目指す上で必要なこと、大切なことをまとめてみました。ぜひ参考にして頂ければと思います。

不調の原因

まずはこちらを考えてみましょう。それぞれの立場に立って頂いて、なぜ精神的に具合が悪くなったのかを振り返ります。

具体的にどのようなことで調子を崩しているのか例を箇条書きしてみましょう。

  • 拘束時間、残業時間が長い。また、休日出勤を強要される(『会社に来ないなんて仕事舐めてるのか!』など無茶苦茶なことを言われる)。
  • やりたい仕事ができない。一番大変な部署に回された。
  • 上司に怒られてばかりいる。
  • 失敗が多く、周りに迷惑をかけてしまっている。
  • コミュニケーションがうまくとれない。

などなど、思いつくことはたくさんあるかと思います。

いろんなストレス発散方法を試してみて、それでもメンタルの調子が良くならず精神科を受診する人が多いのが現状です。

あなたにとって不調になった原因を思い出すのは大変つらいことだとは思いますが、これを振り返っておくのが大事だったりします。

要は、具合が悪くなった原因を理解し、次また調子を崩さないようにしなければなりません。人は大きなストレスで発症してしまいますが、その後は些細なストレスで調子を崩しがちとなってしまいます

それがどんな理由なのか、何が原因で体調を崩してしまうのかを自分で知っておかなければなりません。そこでこのような振り返りが大事になるのです。

できない体験をする

できない体験』ってなんだと思いますか? 何だか嫌な聞こえ方に聴こえてしまうかもしれませんが、とても大切なことなのでお話しさせてくださいね。

例えばあなたが、会社に復職するためにリハビリを始めたとします。そしてまずは早起きから始めたいとあなたは思います。会社に行くためにはまず自分の力で朝起きることから始まりますもんね。とっても大事なことです。

『あなたは早起きができますか?』という問いかけに対し、ほとんどの方が『できます!』と答えます。では実際に早起き出来た方がどれくらいいるか……

実際は半分以上の方ができません。

これは何が起こっているのかというと、『できます!』と言ったあなたの脳内には、健康でバリバリ仕事をしていた頃のあなたが想像されているのです。体調を崩す前のあなたが早起きをしている姿が映っています。

しかし、精神的な症状で体調を崩した今は、状況や環境、もちろん体調面も含めて大きく違います。まずはそれを実感してほしいのです。そこでいったん自分の現実や現状を知ってほしい。そこから改めてできることから始めるのです。

朝起きることができない人は無理をして早起きをせず、8時でも9時でもいいので、できることから始めていきましょう。ちょっと起き上がって一度朝日を浴びることを目標としようとかでもいいんです。そのあとしんどくて布団に入ってしまってもいいんです。

小さな成功体験の積み重ねをしてみましょう。目標は見栄を張らずに、できることから。そのためにまずは自分のことを知りましょう。

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周りに与えている影響に気付く

休職中の方の話を聞いていると、こんな言葉を耳にします。

聞いてください。僕は職場でみんなに存在をないものとして扱われるんです。それが分かってから夜も眠れないし、食事もまともに摂れません

これを聞いてどう思いますか? 外からの影響で自分が具合が悪くなった、と自分が実際周りに与えられていることを話していることが分かりますか? このように人は、周りに自分が与えられていることはとてもよく分かる生き物です。

ですがこういった方がいざ集団生活の場に入ると、とても自己中心的な行動や発言が多かったり、クレームばかり言うクレーマーだったりすることがあるのです。つまり今回のことに限らず、人は自分が与えられていることはよく分かるのですが、自分が周りに与えていることには気付かないものなんですね。

周りのせいだと思っていたことが、実際は本人さんが原因だったりすることもあるのです。そうなると復職しても、同じことの繰り返しになってしまう可能性があります。そこで、家族や友人の意見をよく取り入れてみると、客観的な意見を聞くことができ、自分を良く知ることができると思います。

ですが中には一人暮らしの方や、抑うつ状態がひどく家族や友人とも話すことがおっくうな方もいますよね。特に男性であればプライドもありますので、家族の目やどんどん昇格していく同僚などと自分を比べ、余計に気持ちが沈んでしまうという人もいるはずです。

 

復職を目指す方には上記にあげたような大切ことを意識して頂きたいのですが、ひとりでは限界があると思います。

復職支援(リワークプログラム)というものがあるのはご存知ですか? 復職に向けてリハビリができるプログラムです。そしてこのリワークプログラムをやっている機関が各県内に数ヶ所あります。

こちらをやっている機関に通うことで、上記のすべてを達成できるプログラムをこなすことができ、復職するための一番の近道となります。

復職支援(リワークプログラム)とは?

※以下、リワークと呼ばせて頂きます。

文字通り、復職を目指す人たちが定期的に通って行うプログラムのことです。精神科病院やクリニック、または精神保健福祉士センターなどがやっているところが多いかと思います。ベースとなるプログラムは共通していますが、各機関によってその特徴や雰囲気は全く違います。

私服でOKのところもあれば、スーツで通所するところもあります。またできるだけ職場に近い形(疑似体験)の緊張感のある中でリハビリを行うところもあれば、もっと和気あいあいとプログラムを行うところもあります。

配属されているスタッフは医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士など実に様々。

通所期間は一般的に6ヵ月~12ヵ月と言われていますが、3ヵ月を1クール(3ヵ月で卒業)をしている機関もあります。時間は会社で仕事をしている時間帯を想定して、朝9時~夕方17時までなどが多いかと思います。

リワークの目的

リワークの目的はいくつかありますが、重要なポイントは再発を防ぐということと、仲間同士の繋がり、そして対人関係能力の改善ではないかと思います。

再発を防ぐ

発症して休職し、何もリハビリをせずに復職をした場合、その原因やパターンをきちんと見いだせないことが多いので、同じストレスがかかるとまたすぐに具合が悪くなりがちです。

特に『働きバチ』の人は「もう周りに迷惑かけられない」となるタイプが多いので再発がしやすいと言われています。

つまり、病を抱えながら働き続けることを考えなければなりません。どんなに具合が悪くても、簡単に退職の道は選べません。生活の糧を失うわけにはいきませんから。

リワークでは気を付けながら頑張る方法を知ることができます。それは世間一般的なことも含まれますが、個別のパターンというものに気付くことができるのです。

仲間とのふれあい

リワークで一番重要だと言われているのが仲間同士の繋がりです。

休職者は孤独です。職場や家族の視線に耐えなければいけませんし、仕事もせずに家で横になっているだけだと冷たくあしらわれてしまうこともあると思います。

そんな状況を脱するために無理をして復職してまた体調を崩してしまい、より状況を悪化させることだってあるのです。

そんな時に同じ境遇の仲間がいるだけで、人の心はとっても安心することができます。あまり人に相談できなかったことを仲間に相談できたりします。そこで共感してくれたらやはり嬉しいですよね。

同じしんどさや苦しさを持つ仲間たちと一緒に目標を目指して歩いていく、まさにこれが復職のための大きな一歩になり得るのです。

コミュニケーション能力

休職をしてしまう一番の原因は何だと思いますか?

もう見出しにも出てしまっていますが、そう、コミュニケーションです。

「あれ? 残業時間の長さとかは?」と思われた方もいると思います。もちろんそれも大いにありますが、ですがもっと根本にあるのは、それを周りに相談するコミュニケーションが不足していたために発生していることなのです。

リワークをやっている機関でSST(ソーシャルスキルトレーニング)というプログラムを実施しています。この内容というのが例えば、ある少人数のグループを作り、『飲み会をうまく断るには』などのテーマを決めてみんなで話し合います。実際に上司役、同僚役などを決めて演技をしたりします。

これをすることにより、実際その場面に遭遇した時に冷静に判断できるようになり、復帰後の人間関係の困り感が少しラクになります。

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対象となる人

  • 精神科に通院中の方(その機関に通院してい無い人でも受けてくれる病院などはありますが、中にはその病院に通院している人のみというところもあります)
  • 会社を休職中の方(退職者は対象となりません)
  • うつ病と診断を受けた方(地域によっては、統合失調症や双極性障害(躁うつ病)でも受けてくれる機関もあります)

リワークを受けても良いという主治医の判断は必須です。

基本的には「うつ病」の方が対象ですが、『中部総合精神保健福祉センター』などは統合失調症の患者様の受け入れもOKで、専用のプログラムなんかも存在します。

復職コース(作業訓練)のご案内|東京都立中部総合精神保健福祉センター

リワーク利用の流れ

機関によって多少の違いはあるかもしれませんが、あくまで参考程度にご覧ください。

  1. 電話などで問い合わせ
  2. 見学
  3. 体験
  4. 利用決定!

のパターンが多い印象です。体験がないところもあります。見学はどこの機関も共通です。先程もチラッとお話ししましたが、機関によって特徴や雰囲気が全然違います。

ご自宅から近い場所に通われることを勧めていますが、その他には空間の雰囲気、スタッフとの相性などもありますので、実際に数か所足を運んで決めるといいかもしれません。

またリワークはまだまだ数が足りていない現状がありますので、利用したくても1ヵ月待ちなど、すぐの利用が出来ない可能性もあります。

利用料金

医療保険で会計されますので、保険証をお持ちの方は3割負担です。ですが、リワークは自立支援医療の対象ですので、1割にすることができます。

通院費やお薬代も1割負担となり、本人さんの収入に応じて1ヵ月の上限額が決まりますので、かなり費用を抑えることができます。まだ自立支援をお持ちでない方は申請されることを強くお勧めします。

うつ病リワーク研究会

全国のリワーク機関の情報が集まっている団体です。リワークについてもっと知りたい方、自宅の近くで近くでリワークを探している方は参考にしてみてください。

インターネットでも『東京都 リワーク』などで検索して頂くとたくさん出てくると思います。

うつ病リワーク研究会

まとめ

いかがでしたか? 今休職をしている方にとって、少しはお役に立てるお話であることを願います。

まずはゆっくり休むことが大切だと思っています。家族さんは本人さんが何も考えずに休むことのできる環境を作ってあげてください。休んでちょっとずつ回復してきて、自分の体調のコントロールなどができるようになって初めて復職について考える流れでいいと思います。

無理は禁物。目標設定は身近なところから。小さな成功体験の積み重ねが自分の自信に繋がるだけで、体調の変化が目に見えて分かるはずです。

1日でも早い社会復帰を果たせることを祈っています。

無理して今の会社にいる必要はない

『こころLABO』ではいろんな対策について書いていますが、そんなにあなたが頑張ってまで今の会社にいる必要はないと思っています。

会社のせいで心の体調を崩し、薬が手放せなくなり、生きづらさを感じている人をたくさん見てきました。

そこまでして今の会社にいなければいけないのでしょうか。

私は40~50代という年齢であっても、今の会社のやり方に耐えられず転職して健康になった人たちを知っています。

また一般雇用で働くのが難しい方たちが、障害者手帳を取得後、障害者雇用として会社に勤め、もう何年も働けており、生きる意味を見つけた人たちを知っています。

自分自身を犠牲にしてまで無理して働く時代ではなくなりました。あなたや周りの家族を守るためにも、あなたはもっと自分らしい生き方をしてもいいのです。

心を健康にするにはまず、原因となっている環境を変えることが一番だと言われています。もしそれが仕事なのであれば、転職を視野に入れましょう。

また精神障害者保健福祉手帳を取得し、障害者雇用を目指している方におすすめの転職サイトはこちらです。

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あなたが今よりもずっと健康に生活できることを、応援しています。

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