精神科病院やクリニックでいったいどんな治療が行われているのかをまとめてみました。
いざ相談しに行こうと思っても、どこに行けばいいのやら? この病院は大丈夫なのか? と頭を抱えてしまう方もいるはず。
基本的なところを知っておけば、あとは選びやすいと思いますので、それでは早速説明していきましょう。
Contents
病院とクリニックの違い
そもそも『病院』と『クリニック』って何? という方も多いと思いますので、まずはその辺の違いから説明していきますね。
その中でもっとも分かりやすいのが病床数(ベッド数)です。
病院
まず一般的に病院と呼ばれているところは、病床数(ベッド数)が20床以上であることが条件となっています(医療法第1条の5第1項)。ちゃんと法律で決められているんですね。
ちなみに病床数(ベッド数)とは入院できる患者さんの人数と思って頂ければいいですね。100床ベッドを持っている病院だと、同時に100人の患者さんを入院させることが出来ます。
クリニック
次にクリニックですが、病状数(ベッド数)が19床以下の機関のことをいいます(医療法第1条の5第2項)。ということはつまり無床(ベッドがない)でもいいということなんですね。
それでは具体的に精神科に的を絞って、どんなことをしてくれるのかみていきましょう。
以下にまとめている事柄は、すべて病院やクリニックで提供している治療・リハビリ内容になっています(地域によっては、民間企業や他機関で展開している内容もあります)。
各機関によっても違いますので、詳しくはお近くの医療機関を調べてみて下さいね。
提供している治療内容
外来
まずは外来治療ができます。病院さんによっては外来は午前中のみ、というところも多い印象があります。
予約制じゃないところもありますが、ほとんど予約制になっていますね。
また外来治療では、自立支援医療が使える医療機関が多いので、ぜひ相談してみて下さい。

入院
基本的にベッドがあるので、入院ができます。入院中は基本的に生活リズムを崩さないように、ゆっくりと精神的に休み、治療を行っていきます。
精神科への入院はちょっと特殊で、いろいろな入院形態があります。
- 任意入院
- 医療保護入院
- 措置入院
よく使われるのは上の3つでしょうか。下に行くにつれて、強制力が高まります。
また入院中はただベッドで横になってジッとしているのではありません。入院中の流れは以下のようになっています。
- 主治医の診察。薬物療法
- 作業療法、各種プログラムへの参加
- 外出→宿泊
出来るだけ毎日プログラムには参加して、退院に向けて社会的機能を回復させたり、体調を整えていきます。
薬物療法
外来・入院ともに共通なのが薬による治療です。
最近の精神科の薬は、副作用も少なく良く効くお薬が多いので安心して飲んで頂けるものばかりです。
心理検査
よくMRIなどと勘違いされている方もいますが、それらとは違い、心理検査はあなたの特徴や考え方のクセ、得意不得意を調べるものになります。
検査はすべて臨床心理士によって行われます。
カウンセリング
その医療機関に配属している臨床心理士や、機関によっては民間の資格を持ったカウンセラー、もしくは精神保健福祉士によりカウンセリングを行うところもあります。
カウンセリングは基本的に保険がきかず、自費となります。
精神科デイケア
精神科デイケアとは、精神科の外来通院している方に向けた通所タイプのリハビリです。
- 生活リズムを整えたい。
- 対人コミュニケーション能力を高めたい。
- 将来仕事をしたいので体力をつけたい。
- 居場所として利用したい。
など様々な目的の方が通われています。
一般的なデイケアだと若い方だと18歳~65歳、もっとご高齢の方も通っている場合もあります。数は少ないですが、18歳以下の方が通えるデイケアもありますよ。自立支援医療の対象です。
復職支援(リワーク)
会社を休職している人が、復職に向けてトレーニングを行う支援です。
週5日6時間など、会社に出勤しているかのような雰囲気で通所して、プログラムを行っている機関もあります。自立支援医療の対象です。

精神科訪問看護
あんまり聞き慣れない言葉かもしれません。精神科に特化した、訪問型の支援があります。
- 薬の管理が苦手。
- デイケアに通いたいけど、なかなか外出が困難。
- 話し相手になって欲しい。
など、在宅で必要な支援を受けることができます。自立支援医療の対象です。
就労支援
医療機関によっては、就労支援を行っているところもあります。就労支援とは、就労(主に障害者雇用)に向けてトレーニングを行うところです。
- 前の会社で自信を無くしてしまった。
- 自分の得意不得意を知りたい。
- 苦手を克服して就活したい。
など、就職に向けて自信のない方や自分がどれだけできるのか心配な方に向けて訓練を行います。就労支援に関しては、医療機関よりも地域の事業所で行っているところが圧倒的に多い印象がありますね。

精神科で働く専門職
それでは次に、精神科で働くスタッフさんたちって、どんな人たちがいるのかザッとみていきましょう。
- 精神科医
- 看護師、准看護師
- 薬剤師
- 作業療法士
- 精神保健福祉士、社会福祉士
- 介護福祉士
- 臨床心理士
- その他
このように精神科領域では、実に様々な職種が連携して、患者様やその家族の支援に日々取り掛かっています。

病院とクリニック別のメリット・デメリット
精神科病院のメリット
もし体調が悪くなってしまった時に、すぐに自分の通っている病院に入院することが出来ます。そうすると主治医も変わらず、カルテも同じ医療機関で使えますので、情報の漏れがありません。
また病院によってはデイケア、訪問看護、リワークなどすべて同じ病院内で受けることができますので、通所場所が変わることなく継続することが出来ます。
また24時間365日稼働はしているので、何かあった時の緊急の相談は受け付けてくれやすいと思います。
精神科病院のデメリット
入院できる病院だと、割と症状の重たい方が多いかも知れません。敷居の高さはクリニックよりもあるかも。
精神科クリニックのメリット
気軽に相談できる敷居の低さは大きいかも知れません。病院だと電話もしづらいけど、クリニックだから気楽に相談できたという方は多いです。
また診療時間が長かったり、院長がメインでやっているところだと院長先生が主治医になります。主治医が院長先生だと安心感がありますよね。
クリニックでもデイケアや訪問看護をやっている機関もあるので、そうなると病院と同じように通う場所が同じなので継続しやすいメリットはあります。
精神科クリニックのデメリット
施設の設備が揃っていないところが多いかも知れません。例えばMRIの検査などは近くの病院に依頼しないといけないんですね。そうなるとあっちいってこっちいって、となる可能性があるので大変な人には大変ですね。
またかなり重症の方が来てしまうと、クリニックでは対応しきれず、病院に相談してくださいと言わざるを得ない場合もあります。
精神科に通院する際の注意点
できるだけ通院先は1ヶ所で。
精神科という領域では、内科か歯科のように気軽にあちこち受診をすることが出来ません。精神科の薬がデリケートであるということもありますが、同じ先生で継続してかかった方が診断や処方が適切になるというメリットがあります。
ですが主治医との相性が大きな特殊な科でもありますので、中には『話を聞いてくれない』『ひどいことばかり言われる』とあなたの体調が良くなることを妨げてしまう場合もあります。
そんな時の主治医変更や転院はご本人さんの自由なので、ますはお電話でも相談しやすいスタッフさんに相談してみましょう。
そして紹介状を書いてもらうと、新しい精神科でも比較的予約が取りやすくなると思います(中には紹介状がないとダメという病院さんもあるため)。

初診の予約はすぐには入れない。
完全予約制の精神科に初診の電話を入れたところ『当日のお受けは出来ません』と言われることがほとんどです。どんなに体調が悪くて今日見てほしいという方でも、医療機関によっては1~2ヶ月待ち…なんてこともあります。
転院の方でも『1ヶ月分薬残っているし、なくなる頃に電話すればいいや』思っていても、実際予約が取れるのはもっと先になってしまう可能性も高いです。
中には予約なしで飛び込みOKの医療機関もありますので。まずはそちらで相談して頂くのもいいかもしれません。
相談内容によってはNGもある。
例えばの例を箇条書きにしてみますね。
- 認知症NG
- アルコール、薬物依存症NG
- 18歳未満NG(思春期外来を除く)
など医療機関によって様々です。これは面倒くさいからとかではなく、せっかく来てもらっても適切な支援を行うことが出来ないという意味でNGにしているんですね。
今では『認知症専門病院』や『依存症専門』などを強く謳っている医療機関も多いので、まずは通いやすい医療機関に電話して「こういうケースを受けてもらえるか?」と相談してみるといいでしょう。

まとめ
これから相談先を探している方にとって、少しでも参考になれば嬉しく思います。
ちょっと普通の診療科と違うところも多いので、いろいろ分からないことも多いとは思いますが、あなたにとっていい通院先が見つかることを願っています。
