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精神障害者保健福祉手帳の等級や申請方法、メリット・デメリットについて分かりやすくまとめてみた

精神障害者保健福祉手帳』という障害者手帳があるのはご存知ですか?

初めて聞いたという方もいるかもしれませんね。

この手帳を取得することで、どんなメリット・デメリットがあるのか、または手帳について気になっている方に向けて、申請方法や等級などについて分かりやすくまとめてみました。

精神障害者保健福祉手帳とは

1995年(平成7年)に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第45条に規定された精神障害者に対する手帳制度である。

引用:Wikipedia

そもそも障害者手帳とは、身体障害者、知的障害者、そして精神障害者のいわゆる3障害を対象として発行される手帳のことです。

  • 身体障害者手帳:赤色
  • 療育手帳(知的障害者):緑色
  • 精神障害者保健福祉手帳:青色

に色分けされています。この3つの手帳を持つことにより、様々なサービスが使えたり、障害者雇用で就労出来たり、税金控除などが受けられます。

今回はこの3つの手帳の中で、精神障害者保健福祉手帳(※以下『手帳』)について詳しくまとめていきます。

対象の疾患

それではまず手帳が取得できる対象の疾患をみていきましょう。

  • 統合失調症
  • うつ病、そううつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
  • 高次脳機能障害
  • 認知症
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

手帳の対象疾患はとても幅広いです。認知症やパーソナリティ障害、摂食障害などもOKとされています。

また発達障害も手帳の対象ですので、障害者雇用を目的とした発達障害の皆様の手帳申請がかなり増えてきているという現状があります。

ちなみに内閣府の調べによると、平成24年には約58万人の方が手帳交付されていましたが、平成27年には約22万人も増加し、約80万人の方が交付されています。

手帳の等級

手帳には1~3級まで等級があります。それらの等級は本人さんの、日常生活能力によって決められます。

手帳の等級
  • 1級:1人で日常生活を送ることが困難な方。食事、家事、外出、金銭管理、コミュニケーションなどにおいて誰かの声掛けや、付き添い、代行などの常時援助を要する。
  • 2級:援助があれば上記の項目がある程度1人で可能。デイケア・就労支援などに通所ができる。食事の準備や家事を行うために、助言や援助を要する。ストレスがかかったときの対処が1人では困難だったり、症状が再発や悪化しやすい。
  • 3級:ほとんどの生活を1人で行うことが可能。生活をする上で困難が少ない、もしくはない。障害者雇用や一般就労で仕事をしている。

精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準(PDF)

主治医はこれらの生活の様子を元に診断書を作成していきます。

「あまりこの辺を話していない」という方や「いつも話している」という方問わず、普段の生活の困り感などをパソコンなどでまとめて持って行くといいですよ。逆にそういった資料があると、先生は診断書を作成しやすいです。

受けられる主なサービス

手帳を持つと様々なサービスを受けることができます。

中には等級や所得状況などによって受けられないものもありますので、詳しくは各機関などに問い合わせてみるか、ネットで調べてみてくださいね。

また自治体などによっても内容が異なる場合もありますので、ここでは主に受けられるサービスをまとめてみました。

  • 住民税・所得税・自動車税など税金の控除
  • 公共交通機関の割引
  • NHK料金、携帯料金などの割引
  • 美術館、博物館、映画館、動物園などの入場料金、駐車場料金などの割引
  • 障害福祉サービスの利用(へルパー、グループホームの入所など)
  • 生活保護受給者に限り、障害者加算がつく
  • 障害者雇用での雇用

といったところでしょうか。

公共交通機関の割引に関しては、歴史的に先に出てきた身体・知的の障害者手帳をお持ちの方が対象となっているところが多いのですが、遅れて出来た精神もだんだん追いついてきている状況です。

障害者控除(国税省)

スマイルハート割引(au)

手帳の申請方法

それでは実際に具体的な申請方法についてみていきます。

まず手帳の申請が出来る方は、初診から6ヶ月経過した人のみです。ここでいう初診とは、現在かかっている精神科だけではなく過去まで遡って初診から6ヶ月経っていればOKです。もしまだ6ヶ月経っていない方は、それまで待ちましょう。

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次に主治医に相談。診断書を書くのは主治医です。その主治医が『書けない』となると手帳は申請できません。

そのためにまず自分が障害者手帳を取得できるのか(対象の疾患があるのか、等級にあてはまる生活の困難さがあるか)を先生に確認してみてください。

そこで『手帳の等級』でも述べたように、自分の日常生活の困り感をパソコンなどでまとめて、先生に参考にしてもらうといいですよ。

それでは上記の条件がクリアできた方は次に進みましょう。

申請先

手帳申請の窓口は、お住まいの市区役所になります。

『障害福祉課』『地域障害課』『高齢障害課』など、福祉、障害などの単語の入っている窓口に行きましょう。ちなみに後述しますが、自立支援医療と同じ申請窓口になります。

必要なもの

  1. 申請用紙(窓口にあります)
  2. 診断書原本(窓口で貰います)
  3. 本人の写真(縦4cm×横3㎝)
  4. 印鑑
  5. マイナンバーカード

共通のところでいうと必要なものは上記になるでしょう。

地域によっては、切手を貼ったハガキが必要なところもあります。お住まいの役所に電話して必要なものをきくか、もしくはネットで『精神障害者保健福祉手帳 ○○市』などで調べると出てくるので確認してみてくださいね。

受け取りまでの期間

約1~3ヶ月かかると思っていた方がいいです。ちょっと時間がかかります。基本的に原本は、役所に取りに行くパターンが多い印象です。

有効期限

精神に限り、有効期限が2年間と決められています。2年経ったら期限が切れるのですが、ちゃんと更新していけば継続して手帳を持つことができますので安心してください。

有効期限は原本に記載がありますので、各自で管理することになります。役所などから通知でお知らせが来ることはないので、うっかり『期限が過ぎちゃった』なんてことにならないように気を付けましょう。

更新時は、新規申請の持ち物にプラスして、手帳の原本を持って行けばOKです。診断書も同じく主治医に作成してもらいましょう。

ちなみに更新した後に、『等級が変わった』なんてことも十分にあり得ます。それは申請したときよりも状態が悪くなっている場合は等級が上がりますし、軽くなっている場合は等級が下がります。

もしかなり症状が回復している場合は、手帳自体が発行されない可能性もあります。その辺りは、主治医ともよく相談してくださいね。

ちなみに新規申請のときもそうですが、もし自立支援医療をお持ちの方、もしくはこれから申請される方は、手帳と同時に申請&更新が可能です。

診断書1枚で2つの申請&更新ができるので、手間もかかりませんし、料金も1枚分で済みますので大変おすすめです。

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障害年金を受給している場合

ちなみに、中には障害年金を受給している方もいるのではないかと思います。

障害年金を受けている方が、後から手帳の新規申請をする場合、主治医の診断書は不要です。代わりに、障害年金の決定通知と一緒に送られてきた年金証書を窓口に出すと、それで申請が完了します。

また更新の際も一緒です。障害年金を受けている場合、主治医の診断書の代わりに年金証書を提出すればそれで手続きが完了します。

ただ自立支援医療と同時申請&更新を考えていた場合、手帳は年金証書が代わりになりますが、自立支援医療は別で診断書が必要になりますので、それだけ注意してくださいね。

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メリット・デメリット

いろいろ書いてきましたが、メリットはやっぱり受けられるサービスが多いということでしょうか。

お金が給付される制度ではないんですが、お金に関する様々なことを安くする、もしくは無料にすることができます。

また、本人さんの困り事にもよりますが、障害者雇用での就労やヘルパーなどを利用することができるのも大きい。

障害者雇用は「障害者」と名はついていますが、要は配慮のある中で仕事をするということですので、障害者雇用で仕事をした方はみんな長期的に働けている方が多いです。悪い話を聞くことは私の場合、ほとんどないです。

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それに対してデメリットですが、これに関しては皆さん口を揃えて仰る言葉があります。それは「レッテルを貼られる」ということ。

大変便利な手帳ですが、その名称は『障害者手帳』。やはりそのワードが引っかかり、手が出せないという方も少なくありません。

ちなみに、『手帳を持っていると、身内や会社にバレるのでは?』という相談をよくされますが、それはないので安心してください。

マイナンバーで管理されるようになったので、行政で調べればすぐに分かってしまうかもしれませんが守秘義務がありますので口外されることはありません。

要は自分で「手帳を持っている」と言いふらさなければバレることはないということです。ですが年末調整を会社で行う場合は、用紙に障害者控除の欄がありますので、そこを記入すると担当の方には分かってしまいますね。

本当に誰にも知られたくない方は、年末調整を自分でやりましょう。

まとめ

大変便利な障害者手帳ですが、申請は決して強制ではありません。自分で必要だと思ったときに、申請を前向きに考えればいいと思います。

もしもっと詳しい内容を聞いてみたい方は、かかりつけの主治医や精神保健福祉士、もしくは障害福祉関係の相談機関に相談してみてください。

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