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自己啓発

『聞き上手』だと言われた私が、人の話を聞くときに心掛けていること

私は精神保健福祉士という仕事をしていますが、お仕事柄、会話で仕事をする職種です。

こころの面だけではなく、生活場面の込み入った状況、人に話したくない生活の様子など、ご本人さんがひとりで抱えていたようなことまで話を聞くのは珍しいことではありません。

逆にそこまでお話頂いて、初めてご本人さんにとってどんな助けが必要なのかというアセスメントをすることができるのです。

ただ淡々とお話を聞くのではなく、心理的情緒的なサポートはどの面接場面にも必須になります。じゃないと、信頼関係も築けませんし、生活の困りごと、ご本人さんが一番助けて欲しいことを聞くことができません。

要はカウンセリングのような聞く姿勢を保ちつつ、ご本人さんのお話を聞くのです。カウンセリングの姿勢は当たり前のものとして、精神保健福祉士の視点でご本人さんと向き合うのです。

そこで私が、人の話を聞く、また仕事上で患者さんと面接をするときに大切にしていることをいくつかまとめてみました。

これは特に専門的な知識のない方でもできる簡単な技法のようなものです。聞き上手になりたい方、立場的に人の話を聞く場面が多い方はぜひ実践してみてください。

相手の目を見よう

ひとつは視線ですね。例えば、いくら相槌をうっていても全然こちらを見てくれない人のことを『うわこの人スゲェ話聞いてくれてる!』と思いますか?

やっぱりきちんとこちらの目を見て話を聞いてくれる人の方が印象的にもいいですよね。では逆に、じぃぃぃぃっとこちらを見てくる人はどうですか?

それだとちょっとこちらの目のやり場に困ってしまうかもしれませんね。ですがどちらかといえば、目を見て話を聞いてくれる人が話を聞いてくれてる感は出ていますよね。でもジッと見すぎても相手が緊張してしまうかもしれない。

ちなみに私は目を見る方です。相手の目を見て話をしない時は、相手の話を聞きながらメモを取っている時です。

そんな中でも私はあえて視線をそらすことがあります。あえてです。ワザとです。わざとカレンダー見て見たり、手元の書類に視線を落とすこともあります。

そうすると相手の緊張がホッと緩みます。私に見られていない、本人さんだけの時間が空間に出来上がるのです。このバランスが私は大事だと思っています。

私の場合そのバランスの比率が、目を見る8割、目を逸らす2割。あとは本人の様子を見ながらバランスは調整していきます。あまり目を見られるのが苦手かなと思えば目を見るを6割まで落とす場合もあります。

相手の目を見ることで『あなたの話をちゃんと聞いているよ☺』という姿勢を見せることができます。

相槌を打とう

視線の話でも出てきました相槌。相槌にはいろんな種類があります。

「へぇ」「なるほど」「そうなんだ」なんでもいいんです。相手の話の切れ目、キーワードに合わせて相槌を入れるのと入れないのでは、相手がこちら側に対する印象が大きく違います。

また「へぇ」などの簡単な相槌の他に、オウム返しという技法もあります。例えば…

「さっきスーパーで買い物してきたんだ〜」に対して、「さっきスーパーで買い物してきたんだね」など本人さんが言ったことに対して同じ言葉で返すことをいいます。

これはかなり有効で、相手に好印象を持たれやすく、『私のことを分かってくれてる!』と思われやすいです。下手すると、このオウム返しだけで、相手が大変満足して『あ〜今日はよく喋った!』と言ってくれますし、カウンセリングが成立してしまうこともあるのです。

相槌にしろ、オウム返しにしろ、入れるタイミングや回数に気をつけた方がいいかもしれません。やみくもに「うんうんうんうん」と言っていると、「こいつ適当に聞いているな🤨」と思われてしまいますからね。

ちなみに「会話が続かない」と悩んでいる人は、この相槌の他にちょっとしたコツがいりますので、こちらの記事を合わせて読んでみてください。程よい相槌と、オウム返しのタイミングを心掛けて頂ける良いですね。

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体はできるだけ相手に向けよう

これは話を聞く際の、こちら側の体の向きです。

カウンセリングをするとき、自分の座る位置は本人さんの正面ではなく、斜めの位置に座ると良いと言われていますよね。これは相手がリラックスできる位置関係だと言われています。

ただし斜めに座ってもどこに座っても、こちらの体の向きは可能な限り本人さんに向けましょう。

その時に意識して頂きたいのが、上半身だけではなく、下半身も向けることです。その時のポイントは膝とつま先です。膝とつま先をまっすぐ本人さんに向けられる場合は見せてもいいですし、テーブルの下から出してみてもいいですよね。

上半身だけ向けるのと、下半身を使って全身であなたの話を聞いているよという姿勢を見せるだけで、『この人に話をしてもいいんだ』という相手の安心感にも繋がります。

ちなみに私はこれがちょっとした癖となり、どんなに自分の仕事をしていても後ろから話しかけられれば自分の手を止め、上半身だけを後ろに向けるのではなく下半身まで向けて話を聞きます。それだけでもう相手は容赦なく話続けてしまいます(笑)

結局仕事が進まず、その後残業になることがあるので、その点に関しては私の力量不足なところもありますが。このように体制を相手に見せるだけでも大きく違いが出てくるのです。

傾聴してみよう

皆様は傾聴という言葉を聞いたことはありますか?

『人の話を聞く』……これは傾聴ではありません。傾聴とは、簡単に言ってしまうと無になって相手の話を聞くことです。うん、難しいね。解説していきます。

例えばある人が……

昨日は6時間寝たよ

と言われて、あなたはどう感じましたか?

「6時間も寝てるじゃん」と思う方もいれば「6時間しか寝ていないんだね」と思う人もいるでしょう。

電車に乗るのがすごくつらい

と言われたときに、あなたはどう感じますか?

「満員電車?」「乗り換えが難しいから?」など、人によって「電車に乗ることがしんどい」と思う理由は違うと思います。余談ですが私はすぐに電車酔いをするので、「電車に乗ることがつらい💦」と思うことがあります。

この世にはそれぞれ置かれている環境も違いますし、文化が違う人もいれば、捉え方や価値観が異なる人たちしかいません。

あなたと全く同じ考え方などを持っている人はなかなか存在しませんよね。だから人間は喧嘩をするし、様々なことで衝突してしまいます。

そこで傾聴という技法が登場します。傾聴とはつまり、自分の中の価値観を取っ払って、相手の言葉をそのまま受け入れるということなのです。

なのでここでは、「この人は6時間寝たんだな」「この人は電車に乗るのがつらいんだな」とありのままの言葉を受け止めます。

ちなみにこれを「6時間寝たんだね」「電車がつらいんだね」と返してあげると、先程もお伝えしたオウム返しになります。

共感してみよう

共感とは、傾聴とセットで用いられることが多いです。共感とはどういうものかというと、相手の気持ちに寄り添うことです。先程の例で考えてみましょう。

昨日は6時間しか眠れなくてしんどい…

と相手が言ったとします。それに対しての共感は、

そうだよね。しんどいよね

という寄り添った言葉、相手をねぎらう言葉です。ねぎらうことの大切さについては下記の記事をご覧ください。

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『ねぎらう』ことを覚えると、人間関係が劇的に良くなってくる本日のテーマは『ねぎらい』。漢字で書くと『労い』です。 『ねぎらい』と聞いて、意味がぱっと出てこない人もいるのではないでしょうか。...

中には「6時間も寝てるからいいじゃん!」なんて言っちゃう人もいるのですが、それはあくまでその人の基準であり、その人の価値観ですよね。でも実は本人さんにとって、6時間睡眠がかなりしんどいことかもしれませんよね。

もし相手から否定的な言葉を言われちゃった人は、『あぁ批判された』『この人に話をしても無駄だ』と思ってしまいます。『もうコイツには相談できない!』と信頼関係を築くことが難しくなるかもしれません。

「大変だったね」「しんどかったね」と気持ちに寄り添ってみましょう。なかなかコツを掴めない方は、相手の言葉の端々に出てくる気持ちのワードをオウム返しすればいいのです。

相手を褒めよう!


最後のポイントはコレです! 褒める!

人は自分を褒めてくれた相手に信頼を寄せる傾向があります

褒められて怒り出す人なんていませんよね? 褒められると誰だって嬉しいと思いますし、褒められたことが自分の自信に繋がる場合もあります。もしかしたらこちらが褒めたことが、今日本人さんが一番気合を入れたところかもしれませんし、本人さん自身が短所だと感じていたことかもしれません。

私は人と話をする上、もしくは30分ないし1時間の面接の中で、相手のことを最低1回は褒めることを心掛けています。

褒めるポイントはどこでもいいんです。例えば容姿。これは目に付きやすいので簡単に褒めることができそうですよね。

「そのスカート素敵ですね〜」「ネクタイの柄お洒落ですね」「髪型いい感じだね!」などなど。

では目に見えないポイントはどうでしょう。相手の行動、気持ち、姿勢など。これは少し難しいかもしれませんが、出来るようになると相手から大変大きな信頼を寄せてもらうことができます。

「今日は頑張って勉強したんだね」「わざわざここまで来てくれてありがとう」「ひとりでここまで終わらせたの? すごいじゃん」などなど。

ちなみに褒めるときには、やはり嘘ではない範囲がいいです。長続きしませんし、下手すると相手に分かってしまうかもしれません。そうなると元も子もないですよね。褒めるところは自分なりの感覚でいいので、素直に『おお!』と感じたところを口に出すのがいいかもしれません。

さりげない会話の中でも相手のことを褒めるだけで、相手がこちらに対する好印象が大きく跳ね上がります。褒められると嬉しいし、それを自慢したくなりますもんね。

そして相手が「そうなの! あのね」と続けてきた話を、傾聴や共感などを使い話を聞くだけで『あなたは本当に人の話を聞くのが上手ね』となるのです。

『聞き上手』になるメリット

『聞き上手』になるって、いいことだらけなんです。人から信頼されるようになりますし、頼られることも増えてきます。

職場ではとても相談しやすく頼りになる人という位置づけになるかもしれません。交渉事だって、円滑に進むかもしれない。どういう風に付き合えばいいか分からなかった人に対しても、何かヒントが掴めるかもしれません。

人は基本的に誰かに自分の話を聞いて欲しいと思っています。自分の思いや考えを周りに聞いてもらい、共感してもらえることで安心します。自分は必要とされているんだなぁと感じることもできるし、存在意義を実感できるからなんですね。

その気持ちを相手に持ってもらうだけで、お互いの信頼関係が生まれ、膨らみ、強く太いものになっていきます。

普段の会話に少し意識を加えることによって、これだけ大きなメリットがあるのです。

まとめ

いかがでしたか? いくつか意識するポイントをあげてきましたが、どれも私が普段から使っている技法です。

今では『聞き上手』になるための本もたくさん出ていますし、そういった知識を深める勉強会や講習会、また心理系の民間の資格もたくさん出来てきましたので、興味のある方は参加されてもいいかもしれません。

心理カウンセリングスペシャリスト資格講座

最初はやはりある程度意識しないとできないこともありましたが、今となっては無意識にそれらが出来るようになりました。全部一気やろうとすると難しいので、ひとつずつでも出来るようにしていけるといいですね。

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