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精神保健福祉士(PSW)

専門職に向けた、インテーク(予診)のとり方やコツまとめ

今回ははじめて精神科病院やクリニックに来てくれた初診さんにお話を伺う、インテーク(予診)について話をしようと思います。

インテークをとる人は、精神保健福祉士や臨床心理士、そして看護師などの専門職が多いのではないかと思います。

それらの専門職は、初診さんにとって初めてお話をする人たちです。最初の顔になります。その人たちで医療機関の印象が決まると言っても過言ではありません。

そして初診さんのお話を聞いて、医者に伝える大切な役割を担います。

そんな大事なインテークについて、今日はたくさんお話をしてみようと思います。

やり方が分からない新人さんや、長年やっているけど基本に帰りたいと思っているベテランさんまで読んで頂ける内容に仕上げました。ぜひご覧くださいませ。

インテーク(予診)の目的

そもそもどうしてインテークをとるのでしょうか? インテークの役割には大きく2つあります。

まず1つ目が、医者の診察時間の時間短縮。これは決して悪い意味の時間短縮ではなく、本来診察室の中で聞く生活歴を専門職が事前に聞くことで、診断を出すための診察時間を十分に確保するためです。

そして2つ目が、初診さんの情報を専門職として把握するため。これから何かしらの形で初診さんに関わっていく専門職が最初のコンタクトをとっていますので、話を聞きながら情報を集めることが可能です。

細かな目的は他にもたくさんあります。

まず医者との診察の前にワンクッション挟むことで、初診さんがリラックスして話ができるようになります。

また、先に困っていることを口に出して説明をするので、さっきまで頭の中が混乱していた初診さんも、頭の中でだんだん状況が整理されるようになります。よって診察の中では少し緊張感も緩み、より多くの情報を自分から主治医に伝えることができるようになります。

また専門職としても情報を把握しやすいですよね。1人で来ているのか、家族と来ているのかもとっても重要なポイントのひとつです。サービスを利用しているのか、介護保険を利用しているのか、単身生活か家族と同居かなどの細かな生活の状況もこのときに把握できますね。

インテークってそう考えると、メリットだらけなんですよね。初診さんにも専門職にも、そして主治医にとっても良いことしかない。私なんかは『インテークとれる、よっしゃ!』くらいの気持ちで毎回挑んでいます。

インテークの目的まとめ
  • 医者の診察の効率化
  • 初診さんの情報を専門職として把握する(アセスメントをする)
  • 初診さんは話をしながら頭の中で話がまとまるため、診察でスムーズに話ができるようになる

インテーク(予診)では何を聞くのか?

それではまず、インテークで初診さんに聞く内容をザックリとまとめていきます。

いろいろ書いていますが、基本的なところのみ書き出しています。この辺はだんだん経験を積んでくると、何をとればいいのか自然と分かるようになってきます。

どの情報を重点的に聞いた方がいいのか、なぜそれを聞くのかを理解しておかないと、患者さんの情報が繋がらなくなってしまいます。

ちなみに主に聞いていくのは下記の項目です。

  • 出生時の様子
  • 学生時代
  • 仕事
  • 婚姻歴
  • 家族歴
  • 現病歴
  • 精神科の治療歴
  • 発症のきっかけ

などなど。順不同です。この順番に聞けばいいものではありません。その時、その雰囲気などから適切な質問項目を選択して、話を聞いていきましょう。

この時に気を付けることは、きちんと時系列に整理することです。私なんかだと、話を聞きながら、もしくは話の最後にザックリと時系列で話を復唱し、確認をとります。これで合っているか、抜けているところはないか、間違っているところはないか、初診さんに聞いてもらい、確認をします。

初診さんの人生を聞いて整理しましょう。これまでの人生でどんな環境に生まれ、どんな生活をしてきたのか。

この時のもうひとつのポイントは、いつからいつまでをハッキリさせることです。『平成〇年〇月頃』『〇歳のとき』『〇年間』など、できるだけ正確な日付が分かればいいですが、初診さんが覚えている範囲で大丈夫なので聞き出しましょう。

ここをハッキリさせておくと時系列で繋げやすく、医者が見立てをするときに大いに役に立ちます。

インテーク項目のポイント
  • 初診さんの人生を時系列で把握する
  • いつからいつまでなのか、日付をハッキリさせる

誰にインテーク(予診)をとるのか?

それでは何を聞くのかひと通り分かったところで、もう少し具体的なお話をしていきます。

例えば初診さんがひとりで来院していた場合、これは本人さんにインテークをとればいいので、とても分かりやすいですね。

それでは、初診さんが家族と来ていた場合はどうでしょうか? どちらに、もしくは来院してくれているみなさんからインテークをとりますか?

実際、これには正解はありません。

ただ本人さんのお話だけじゃなくて、家族のお話も聞きたいと思う場合もたくさんあると思いますので、そのときは家族さんも呼びましょう。もちろん本人さんの同意を得てからです。

最初から家族さん同伴でお部屋に入ってくるパターンも多いとは思いますが、本人さんに「家族さんも一緒でいい?」と聞いてみましょう。

中には「家族と一緒だと話せない」という内容のお話もあるかもしれませんからね。

実はそこからすでにアセスメントが始まっています。どんな人と来ているのか、本人さんはその人たちに対してどんなことを思っているのか。1人で話をしたがるのか、誰か側にいてほしいとスタイルか。一緒に来ている人は協力的か、そうでなさそうか。キーパーソンになり得るかどうかなどなど。出だしの部分だけで、見極めるところはたくさんあります。

あと物忘れの相談で来ている初診さんは、付き添ってきた人の聞き取りは必須ですので、本人が強い拒否をしない限り、付き添いの人からお話を聞いちゃいましょう。もし拒否されちゃった場合は、主治医にその旨を伝えましょう。

インテーク対象者のポイント
  • 誰と来ているのか確認する
  • 本人だけの情報では不十分だと判断した時は、付添人からも聴取する
  • 物忘れの場合、家族からの聴取は必須

たくさん引き出しを持つ

これは経験を多く積むと、だんだん身についてくるものになります。初心者さんにはまだ難しいことかもしれません。

主訴や聞き取りの内容から、聞き取りの方向性をある程度見極めていきましょう。

例えばうつ状態が主訴で来ている初診さんに対して、「幻聴はありますか?」「妄想はありますか?」と聞き続けることはナンセンスです。

うつ状態が主訴で来ている初診さんの場合、「いつからそれらの症状が出ているのか」「なにかきっかけがあったのか」「食欲はある?」「眠れてる?」などのことを聞き取ります。

これが発達障害が主訴となれば、小さい頃の生活の様子などの聞き取りが必要になってくるのですが、そういった見逃しができるだけ少ないほど良いですね。

また「うつ状態が主訴だけど、話を聞いているとADHDっぽいぞ」と思うことだってあるわけです。そしたら素早く方向を変えて、小さい頃の様子を聞いたりします。

これらのように、主訴や聞き取りをしながら、だいたいの道筋を頭の中に組み立てます。もし他の可能性が出て来たときのことを考え、他にもたくさん選択肢を持っておいた方がいい

そう考えるとインテークはとてもやりがいがあります。「はじめまして」というまったく情報のないところから、本人のお話や様子などで、ある程度の疾病を絞り出すのですから。

「これはインテーク(予診)です」

次に必要なのが、初診さんへの説明です。

まずはじめに、あなたのことをいろいろと教えてください。

などと、入ると思います。なぜこのような時間が必要なのかを初診さんに説明することが必要ですね。

いくら専門職といっても、突然初対面の人に「あなたのこと教えて!」と言われても、お話したくありませんよね。

冒頭でもお伝えしましたが、初診さんが一番最初にお話しする相手はインテークをとる専門職です。その人の印象で、医療機関の印象が変わると言っても過言ではありません。

初診さんを快く出迎えることで医療機関に対する信用度が増して、診察に繋がりやすくなるので、初診さんの精神的な症状はかなり良くなりますよね。

そのためにキチンとした説明をしましょう。あなたは何度も説明をしているかもしれませんが、初診さんにとったらはじめて受ける説明です。丁寧にお話をしてください。

また、

これは診察ではありません。より詳しいお話は、この後の診察でお話ししてくださいね。

これも付け加えましょう。この言葉を一言付けるか付けないかで、インテークの効率が少し上がります。

というのも、初診さんが永遠とお話ししてしまう可能性が大いに高いからです。初診さんはしんどい気持ちをただひたすら吐き出しますので、限りあるインテークの時間があっという間になくなってしまいます。

そうなってしまうと、聞きたかったことを何ひとつ聞けず、初診さんは結局頭の中が整理できないまま診察が始まり、医者が最初から生活史を聞くことになってしまいます。

医者があなたを信用して任せてくれているのですから、そこはハッキリと線引きをしましょう。「お話の途中でごめんなさいね」と途中で話を切ることも時には必要なのです。

記録

あとはこれまで聞き取った内容を、記録としてまとめていきます。

しっかり時系列で書きましょう。誰もが見て分かりやすい記録に仕上げることがポイントです。というもの、ここでまとめた記録が、転院時の診療情報提供書として使われることが多いためです。

どこのどんな人が見ても分かりやすい文章になるように心掛けましょう。

しっかりと記録を仕上げたあとは、医者に持って行くだけです。

何事もそうですが、医者に報告をするときには結論(主訴)から報告します。少し経験を積んでくると、ここに聞き取り者の見立て(「気分障害」「統合失調症かも」、もしくは「発達障害っぽい」など)が入ることもあります。

具合が悪そうな人や高齢者、18歳などの若い年代の人たちなどは、誰と来ているのかが結構重要だったりします。

というのも精神科はキーパーソンが非常に大事になってくるからですね。いざという時の家族の協力があるかないかでは、今後の支援の方向性が大きく変わってきます。

インテークに関するおすすめの本

私も持っていて、いろんな人におすすめしている本があります。

それがこちら、笠原先生の本です。インテークに関する本って全然ないんですけど、唯一の本で、尚且つ非常に分かりやすくまとめられている本になっています。

前半はインテークについて、そして後半は診察について書かれています。ぜひ職場に一冊持たれておくことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか? 結構文字が多かったので読むのが大変だったかもしれませんね。

まだまだ伝えたい事は多いのですが、実践で身につくことも多いと思いますので、この辺にしておこうかと思います。

ひとりでも多くの初診さんのために、専門職として力を発揮していきましょう。お互い頑張りましょうね。

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