発達障害と診断を受けた人に向けて、利用できる制度やサービス、社会資源をご紹介していきたいと思います。
診断は受けたものの、これからどうしていけばいいのか分からないという人は多いと思います。
主治医が「あそこ行って」「これが利用できる」とか、いろいろ教えてくれればいいですが、そうもいかない場合も多いですよね。
こっちから聞いてみたいけど、主治医によっては聞きにくいっていう場合もありますしね。そんなみなさんの少しでもお役に立てればと思ってまとめてみました。
発達障害の診断名は、広汎性発達障害をはじめ、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガーを含みます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
自立支援医療
自立支援医療という、医療費が安くなる制度を利用できます。みなさん恐らくほとんどの方が窓口で会計を3割支払っているかと思うのですが、その支払額が3割負担 → 1割負担に軽減します。
更に上限額といって、前年度の所得によって、1ヶ月の上限額が決まってきます。2018(平成30)年の段階では、
- 2,500円
- 5,000円
- 10,000円
- 20,000円
の4種類。もし仮に上限額が5,000円だったとすると、月初めでこの5,700円の請求がされた場合、実際に支払うのは上限額の5,000円のみです。
その後は変な話、いくら通院しようが、どれだけ薬を貰おうが、上限額以上の支払いをすることはありません。
適応は病院やクリニックなどの、医療機関1ヵ所、薬局1~3ヵ所、精神科デイケア1ヵ所、精神科訪問看護1ヵ所、復職支援(リワークプログラム)1ヵ所になります。
これらの登録された機関でしか利用することはできませんので、ご注意くださいね。
もし申請を希望する場合は、主治医に相談して、診断書を作成してもらいましょう。その後は毎年更新が必要です。更新は毎年ですが、そのうち診断書が必要なのは、2年に1度になります。

精神障害者保健福祉手帳
まず、障害者手帳の取得が可能です。障害者手帳とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者が持つことのできる手帳のこと。
初診から6ヶ月以上経過していれば申請ができ、取得後は2年に1度更新をしていきます。等級は1〜3級まであり、病状や日常生活能力などによって、等級が決まります。
障害者手帳を取得するメリットとして、
- バスが乗り放題のフリーパスがもらえる。
- NHK、携帯料金に割引がきく。
- 年末調整の障害者控除を受けられる。
- ヘルパー、グループホーム入所などのサービスを受けられる。
- 障害者雇用で仕事に就くことができる。
などのことが挙げられます。
段取りとしては、まず主治医に障害者雇用が取得できるか確認しましょう。もし申請を進められそうであれば、お住まいの市区役所の障害福祉の窓口にいきましょう。詳しくはお住まいの市区役所のホームページに、申請に必要なものが書かれていますので、そちらを参考にしてくださいね。
ちなみに上述した自立支援の申請&更新が、障害者手帳の診断書1枚で同時申請&同時更新が可能です。これにより、診断書が1枚で済みますので、2度申請&更新に行ったり、診断書の料金が1枚で済むのでおすすめです。
また障害者手帳を取って、障害者雇用で働くという手もできます。求人はハローワークや各地域にある就労援助センターで探すことができます。また今は『アットジーピー』などのように、ネット上で簡単に申し込みができる探し方もあります。

障害年金
発達障害の方も、障害年金の申請ができます。
障害年金とは、症状が固定(継続)しており、安定した収入を得ることが困難な人のための制度です。老齢年金と同様に、2ヶ月に1度、安定したお金が指定した口座に支給されます。
障害年金の対象者は、初診時に何らかの年金に加入し、初診から1年6ヶ月経過しており、尚且つ保険料をある程度収めている人です。また病名にも神経症はNGなどの決まりがありますので、気になる人は主治医に相談してみることをお勧めします。
発達障害でも申請できるのですが、病名によっては結果が分かるまでに時間がかかる場合もあるようです。診断書の内容や、病歴・就労状況等申立書にもよるとは思うので一概には言えませんが、時間がかかる場合、結果が分かるまでに1年かかるという人もいるそうです。
詳しい内容は下記を参考にしてみてくださいね。

就労移行・継続支援
仕事をしたいけど自信がない人、不安な人、仕事をするにあたって必要なスキルを身に付けたい人、将来的には障害者雇用で働きたい人などが利用できる就労支援。
就労支援には下記の3種類があり、今の自分の病状や、能力に応じて通所先を決めます。
- 就労継続支援B型
- 就労継続支援A型
- 就労移行支援
特に就労移行支援に関しては、社会福祉法人だけではなく、民間企業も次々に新規で立ち上げをしているので、たくさんの事業所が存在します。
最近では発達障害に特化した事業所も増えてきていますが、どこも人気で順番待ちになることもあります。
上記のどの事業所にも言えることですが、力を入れている分野、事業所の雰囲気(スタッフ、利用者)、通いやすさなどが全然違います。
まずは自宅近辺の事業所を探して頂いて、気になったところを2~3ヵ所ピックアップして見学に行くことから始めましょう。
ちなみに、これらのようなサービスを、障害福祉サービスといい、他にもヘルパー利用、グループホーム入所などのサービスを利用することができます。

精神科デイケア
病院や保健所などで行われている精神科デイケア。利用目的はそれぞれですが、ベースとして生活の基盤を整えるという大事な役割を持っています。
- 生活リズムを整えたい。
- コミュニケーションをうまくできるようになりたい。
- 引きこもってばかりなので、外に出るきっかけにしたい。
- 居場所として利用したい。
などなど、利用目的は様々。毎日プログラムを行っており、通う人は週5日デイケアに通っていますし、週5日も通えない人は週1日午前中だけという利用の仕方をしている人もいます。
また時間のパターンも3種類ありますので、目的や病状によって選ぶことができます。
- ショートケア:3時間
- デイケア:6時間(昼食)
- デイナイトケア:8時間(昼食/夕食)
精神科デイケアは上述した自立支援医療の対象になり、支払いが1割負担となりますので大変お得です。
ひとつ注意しなければならないのが、その病院に通院している人のみ利用できるデイケアなのか、他院の患者さんも利用OKのデイケアなのかというところ。
お近くのデイケアのホームページで確認するか、電話で問い合わせてみましょう。
精神科訪問看護
そして通所が困難な方や、在宅での支援が必要な人に向けた訪問看護というサービスも利用できます。
訪問看護というと、高齢者のイメージもあると思いますが、精神障害者や発達障害に特化した訪問看護も地域にたくさん存在します。
訪問看護でやってくれるサービス内容は下記の通りです。
- 薬の管理
- 体調の管理
- 話し相手
- 部屋の片づけの指導や、家計簿などの管理など
その他患者さんのニーズに応じて、いろいろな在宅支援をしてくれるのが訪問看護です。
利用したいけど、他人を家にあげることに抵抗があるという方は、頻度を月1回だけにしてみるという手もありますので、主治医に相談してみてください。
こちらも自立支援医療の対象となりますので、お持ちでない方はこれを機に申請してみてもいいかもしれません。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターとは発達障害のある子ども、大人、またその関係者をサポートするための専門機関です。都道府県や指定都市が実施主体となり、運営は直営の場合と社会福祉法人、特定非営利組織へ委託している場合があります。現在は全国に67個のセンターがあり、保健・医療・教育・福祉などの機関と連携を取りながら、発達障害のある方やご家族からの相談に応じています。
引用:りたりこ発達ナビ
発達障害者の方の相談先です。生活のこと、就労に関すること、医療に関することだけではなく、まだ病院にかかったことのない人たちの相談にも乗ってくれます。
まずお住まいの地域で『発達障害者支援センター』を検索。近くにあれば、そこに直接電話をして、困っていることなどを相談します。来所での相談もできますし、中にはフリースペースのようなものを持っているセンターもあるので、居場所として利用することも可能です。
ですが、発達障害者支援センターまでかなり遠方だという方…地域によっては、通うだけでも大変…という方も少なくないと思います。そんな方は、地域相談支援センターまたは地域活動支援センターと呼ばれる相談先もあります。
相談支援センターは、フリースペースがなく相談支援を中心に行っているセンターです。
活動支援センターは、フリースペースを持っており居場所として利用している方の相談支援を行っているセンターです。
活動支援センターに関しては、地域によっては生活支援センターと呼ばれているところもあります。
この2つは発達障害に特化しているというよりも、精神障害者全般の相談支援、居場所の提供を行っているセンターです。相談先を探している方は、この3つの相談支援センターに相談してみることをお勧めします。
まとめ
発達障害と診断を受けた方は、お薬が存在するADHDを含めて、生活支援というものがとても大切になってきます。
そのために上記であげた制度やサービスをうまく活用して、生活の基盤を整えたり、生活の質を向上させることが必要となってきます。
こういったところを利用したい、使っていきたいと考えている方は、まずは主治医、もしくは通院先の精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)、もしくはお住まいの市区役所の障害福祉課に相談しましょう。
あなたが相談しやすいところに最初尋ねてみて、話を聞くことから始めてみてください。応援しています。