今回は非常に多くの方が気にされている、障害年金と仕事の関係についてお話をしてみようと思います。
年金を受給しながら仕事をすることが可能かどうか、という話と、「給料をもらうと、年金を減らされる…」「仕事が安定すると、障害年金が貰えなくなる…」と悩んでいる方も多くいらっしゃるように思えますので、その点についてもいろいろ私の意見をお話しさせてください。
仕事をすることは可能
まずはここからお話をしていきます。
実際のところ、障害年金を受けながら仕事をすることは可能です。
この「仕事」という枠も、いろいろな働き方があるので、まずは箇条書きで書き出してみます。
- B型作業所
- A型作業所
- 障害者雇用
- 一般雇用
基本的に大きく上記の4つに分類されます。
B型作業所とA型作業所に関しては、【福祉的就労】とも呼ばれています。福祉の専門職の元仕事をするイメージですね。

次に【障害者雇用】。企業は、障害のある人を一定の割合で雇用する義務があります。現在の法定雇用率は、民間企業で2.0%。これに満たない従業員数100名以上の企業は、不足人数分の障害者雇用納付金を納付しなければなりません。
さらに2018年4月より精神障害のある人の雇用義務化が始まります。これは我々精神科で働いている者からすると非常に喜ばしい進展です。
そして一般雇用。一般雇用されながら障害年金を受けている方もたくさんいらっしゃいます。バリバリ正社員は難しくても、パートやアルバイトなどで徐々にやっている人も多いです。
もちろん給与も全額受け取ることが可能です。ただ20歳前申請をされた方に関しては、所得について多少制限がかかってきます。詳細は日本年金機構『障害基礎年金の受給要件』の下部を参考にしてみてください。
それぞれのお給料額の違い
余談ですが、上記の4つはどれくらいお給料が発生すると思いますか?
まずは【B型作業所】、こちらに関しては給料というより工賃です。なので月10,000円前後だと思っていてください。
福祉的な軽作業が多く、作業内容も比較的に簡単です。居場所のような感覚で使われる方もいれば、「ここでずっと働く」という熱い思いを持たれている方もいらっしゃいます。
次に【A型作業所】、こちらは基本的にそれぞれ住んでいる地域の最低賃金は保障されます。ただし能力とお給料に差が生じていると職員が判断した場合、最低賃金よりも下がってしまう可能性もあるそうです。
障害者雇用と同じようなものだと思っていただけるといいかもしれません。そのため障害者手帳は必須ですし、履歴書を書いて面接を行います。
福祉の専門職が常にいるのでサポートを受けながら仕事ができますが、圧倒的に事業所の数が少ないため競争率は激しいです。
続きまして【障害者雇用】ですが、こちらに関しては、パートから正社員まで会社既定の給料が発生します。
障害者雇用には健康な方に混じって仕事をするパターンと、【特例子会社】といって、障害を持った方を中心に仕事をする雇用の仕方があります。
会社によってお給料の額は様々です。ただ少しだけ、障害者雇用のお給料は健康な方と比べて安いような気もします。
仕事の収入だけで生活できることを、誇りに思っていい!
仕事をしているからといって、年金が受け取れなくなることはありません。
ただ、その分健康になっていると主治医が判断すれば、更新の際の診断書にその旨を記載するため、年金の等級が下がったり、もしくは受け取れなくなる可能性だってあります。
「それは困る!」という方もいるかもしれません。
ですが、障害年金を受け取れなくなるほど仕事ができるようになった=健康な状態と同等、という証拠です。
あなたは仕事をして社会貢献ができるようになった、これは大変すばらしいこと。誇りに思っていいことです。
あなたがそのことを誇りに思い、仕事一本に集中し、仕事だけの収入で生活をすることで、他に大変な思いをしている方にあなたに渡るはずだった障害年金が渡ると置き換えてみましょう。
あなたはここまで頑張って来たんです。大いに自信を持っていい。
これほどの社会貢献は他にありません。
まとめ
障害年金を受け取りながら仕事をすることは可能ですが、将来的に仕事の収入だけで生活ができるようになることを目標としていきたいですよね。
もちろん『障害年金を受け取らなくなる方が正解だ!』と言っているわけではなく、そのような生活が必要な方もいるので、無理のない範囲で生活しましょう。
障害年金をどのように捉えるか、踏み台として考えるのか、生活に欠かせない収入として捉えるのか。
お金は大事です。お金がないと生活ができませんからね。最も重要な生活の基盤です。それを安定させてくれる障害年金。つらい時は無理をせず、このような制度も利用していきましょう。
あなたが1日でも早く健康な生活に戻れますように、応援しています!
